FA・ロボット業界の片隅から

FA業界の片隅のフリーランス機械設計者のブログ。 産業用ロボットウォッチが趣味です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

アーク溶接ロボットとスポット溶接ロボット

「溶接ロボット」と一言で言っても、大きく2つに方向性が分かれます。 それぞれどのような特徴を持っているか、重視される性能は何かなど、まとめてみました。 アーク溶接とは ロボットの特徴 有名なメーカ スポット溶接とは 有名なメーカ ロボットの特徴 …

ロボットの機構(10)~狭いところでうまく動く工夫~

下記の記事と関連した話です。 fa-robot-watch.com ロボットは干渉が大敵 プログラム次第で様々な動作ができる垂直多関節ロボットですが、大きな悩みの1つが干渉です。 ある姿勢をとろうとすると、周りの設備とぶつかる・隣のロボットとぶつかる・・・ロボ…

ロボットの動作範囲の記載方法についてのもやもや

産業用ロボットの動作範囲(最大リーチ)の記載方法についてです。 下記の記事を書くために調べていた時に気が付きました。 fa-robot-watch.com 6自由度での動作範囲記載 6軸の垂直多関節ロボットの動作範囲を論じる場合、下記の不二越のロボット動作範囲…

ロボットの機構(9)~協働ロボットの手首構造について~

今回は協働ロボットの手首構造についてです。 手首の関節について 通常の6軸多関節ロボットは、下記の図のような関節配置をしているものが多いです。 (当ブログのロボット構造の図示方法はこちらをご覧ください:本ブログでのロボット模式図について - FA…

ドメイン変更・ブログ名変更のお知らせ

独自ドメインに切り替えました。旧ドメイン https://fasumi.hatenablog.com/新ドメイン https://fa-robot-watch.comまた、ブログタイトルも変更しました。 ブックマークしている方はURLの変更をお願いいたします。有益な情報を発信し続けられるように頑張り…

ロボットの機構(8)~アーム伸縮7軸ロボット~

今回は7軸ロボットについてのお話です。 7軸ロボット 7軸ロボット、このブログを読んでいるような方ならご存じと思います。 冗長自由度を持ち、障害物を回避して作業ができるというものです。 一般的な7軸ロボットについては、こちらのYAMAHAのページを…

ロボットの機構(7)~似て非なる2種類のパレタイズロボット~

以前の記事でパレタイズロボットの仕組みについて説明しました。fasumi.hatenablog.com 3社のパレタイズロボット それでは、次の3社のパレタイズロボットを見てみてください。 川崎重工 CP180L CP180L | 川崎重工の産業用ロボットより引用 不二越 LP130F …

ロボットの機構(6)~てこの原理を活用したロボット~

今回は、機構で特色のあるロボットを紹介します。 MX700N | 川崎重工の産業用ロボットより引用 川崎重工のMシリーズですが、平行リンクのロボットかと思いきや、第3軸に工夫があります。 通常のリンク付きロボットの場合 通常のリンク付きロボットの場合、…

ロボットの機構(5)~パレタイズロボット~

パレタイズロボットとは 物流で使われるパレット。そのパレットに箱や袋を積み上げることをパレタイズと言います。 逆に、パレットに積まれてきた箱や袋を降ろすことをデパレタイズと言います。そのパレタイズ・デパレタイズ作業に使われる専用ロボットをパ…

本ブログでのロボット模式図について

ロボットの模式図 本ブログでは、このような模式図でロボットの機構を説明します。 関節の名称 本ブログでは、根元から第1軸、第2軸・・・と呼んでいます。 参考:産業用ロボットはどんな構造?ロボットアームが動く仕組みを徹底解説 | XYZ | 川崎重工業株…

ロボットの機構(4)~平行リンク機構を使ったロボットの紹介~

平行リンク機構を使ったロボット 先日の記事で平行リンク機構について説明しました。 fa-robot-watch.com平行リンク機構を使ったロボットでも、いくつかのバリエーションがあります。 第2軸の横に第3軸駆動部が配置されているパターン 下記の図のように、…

ロボットの機構(3)~ばね要素~

前記事のカウンターウエイトの最後に書きましたが、第2軸の動力補助はばね要素を使うことが多いです。 今回は、ばね要素を使ったロボットの機構について説明していきます。 理屈としては簡単で、重力による負荷を軽減するように、ばねの力で助けてやるとい…

ロボットの機構(2)~カウンターウエイト~

今回は、ロボットについている大きな「オモリ」の話です。 FANUCの大型ロボット カウンターウエイトの原理 具体的にどう使うか 第3軸に使う 平行リンクと組み合わせて第3軸に使う 第2軸に使う FANUCの大型ロボット 前回の記事でも登場しましたが、FANUCの…

ロボットの機構(1)~平行リンク機構~

平行リンクと言ってもパラレルリンクロボットのことではありません。*1 垂直多関節ロボットの中でも、大型ロボットについている棒(リンク)について解説していきます。大学でロボティクスを学んだ人にとっては当たり前のことかと思いますが、つらつらと説明…

機械エンジニアの「生涯勉強」とソフトウエア分野の「生涯勉強」は少し違うんじゃないかと思う

※今回の記事は、あくまで機械設計者という1つの立場から書いたものなので、生暖かく受け取ってください。 生涯勉強 エンジニアは生涯勉強だと思っています。 会社勤めしていた時から、技術書は惜しげなく買い、勉強するようにしていました。また、メカ分野に…

Universal Robot社が20kg可搬を投入してきた意味

少し前の話ですが(2022年6月)、Universal Robot社から20kg可搬の新型UR20が発売されました。 単なる大型化ということではなく、内部の設計を見直し再設計した機種ということで力が入っています。 外観も、今までの機種からモディファイされており、全体的…

1kg可搬クラスの6軸ロボットについて

ABBの新型1.5kg可搬ロボット ABBが1.5kg可搬の産業用ロボットを発表しました。可搬重量1.5kg, リーチ370mm. 詳しいスペックは、公式サイトをご覧ください。 IRB 1010 - ABBs smallest industrial robot - Articulated robots portfolio | ABB Robotics (Brow…

残業上等でやってた世代とそれ以降の世代の伸び方の問題

このツイートを見て考えたこと。これホントそのとおり。めちゃめちゃ厳しい事が書いてあるけど、でもこれが社会の現実。40代の私が20代だった頃、残業なんて青天井で次から次に仕事をこなした。強制的にしごかれた時代だった。働き方改革以降の今、自分時間…

アクチュエータユニットが流行っている件

モータ・エンコーダ・ドライバ・減速機などが一体となっていて、そのままロボットの関節として使えるユニットが続々と登場していますので、ご紹介したいと思います。 アクチュエータユニットとは 協働ロボットと歩調を合わせるように続々登場 各社のアクチュ…

見るからに危ないものとそうでないもの

ぱっと見で危ないと分からない設備はより危険だよね、という話。 見るからに危ないもの 金属を削ったり曲げたりしているもの(プレス機やフライス) こういうものは、一見しただけですごい出力の機械だ=近づくと危ない、ということが分かるため、気をつけて…

表面粗さの図示と実際について

図面と現物の照らし合わせは大事!だけど・・・ 新人が初めて書いた図面の部品が、実際に加工されてきたとき、 「自分が描いた図面が実物としてどうやって出来上がってきたかよく見るといいよ」とアドバイスするのはよくあると思いますが、表面粗さについて…

自己紹介

はじめまして。ろくしと申します。生産設備系のメーカに10年弱勤務し、その後独立した機械設計者です。仕事の中で感じたこと、ノウハウ、読んだ書籍など発信していきたいと思います。これは違うんじゃないか?ということは、どんどんと指摘していただければ…