少し前の話ですが(2022年6月)、Universal Robot社から20kg可搬の新型UR20が発売されました。
単なる大型化ということではなく、内部の設計を見直し再設計した機種ということで力が入っています。
外観も、今までの機種からモディファイされており、全体的に滑らかな形状になっています。*1
もともとUR社は、3kg, 5kg, 10kgという小型寄りのところにラインナップを持っていました。
16kg可搬のロボットも製品にありますが、アーム長を切り詰めて可搬重量を増やしたもので、なんとなく「本格的な新型までのつなぎ」感のあるものでした。
大型の協働の市場投入が相次ぎ、市場ラインナップが豊富になっている
大型といっても、もともと市場にあった協働ロボットよりも高可搬重量のもの、ということですが。
FANUC CRX
2022年の国際ロボット展に合わせる形で、20kg可搬、25kg可搬を追加投入しました。
安川電機 MOTOMAN-HC
もともと大き目の10kg可搬、20kg可搬を有していましたが、2022年6月に30kg可搬を追加しました。
monoist.itmedia.co.jp
20kg可搬の意味
協働ロボットのラインナップで、20kg可搬の機種があるかないかというのは、大きな意味を持ちます。
人力でハンドリングしていい重さは、厚生労働省の目安だと、継続作業・成人男性の場合で体重の40%となっています(体重60kgの場合、24kg)
ただ、女性はもちろんさらに低く、会社によっては自主的に低い基準にしているところもあるため、実運用上10kg~15kgというところかと思います。
また、物流でロボットを使う場合、2リットルのペットボトル6本入り=12kgが持てるか?1つの目安になると聞いたことがあります。
人が扱う荷の重さ+ハンド重量を考えたとき、15,6kgでは少しパワー不足かなという印象で、20kg可搬というのが1つの基準になると言えます。
20kg持てるか持てないかというのは、「人の作業をロボットで代替できるかどうか」の1つの重要なファクターなのです。
UR社は、この機種の投入で、物流業界への参入を特に意識しているのではないかと思います。
今までは、「軽い荷を扱う現場であれば自動化が可能です」だったのが「人が荷をさばいている現場であれば自動化が可能です」と言えるようになるからです。
まとめ
協働ロボットの在り方を定義してきたといっても過言ではないUR社が、今回満を持して20kg可搬のロボットを出してきたということは、物流業界への本格参入への意気込みであるとともに*2、他のメーカも巻き込んで、より多くの協働ロボットの適用事例が出てくることになる、潮目なのではないかと思います。