FA・ロボット業界の片隅から

FA業界の片隅のフリーランス機械設計者のブログ。 産業用ロボットウォッチが趣味です。

機械安全

ロボットの制限装置(limiting device)について

ロボットの制限装置(limiting device)について、解説していきます。 ISO10218シリーズの2011年版と2025年版とでどのように異なるかも含め、まとめてみたいと思います。 制限装置(limiting device)とは 具体例 制限装置(limiting device)の条件 制限装置の変…

産業用ロボットの騒音

今回は産業用ロボットの騒音についてです。 耳栓を装着した人 はじめに 規格の内容確認 ロボットからどれくらいの距離で測定するか どのような動作パターンで測定するか 各ロボットメーカの記載例 川崎重工の例 不二越の例 FANUCの例 Universal Robotの例 測…

第三者認証を取得しているロボットの方がいいの?

協働ロボットがリリースされた際など、「第三者認証取得」というフレーズを目にすることがあると思います。字面からなんとなく意味はわかりますが、「第三者って誰?」「認証を取得しているロボットの方がいいの?」といった疑問について、Q&A方式で説明して…

ルールは作ったら守る、守れないなら作らない

職場のルール、特に安全に関するルールの話です。 リスクアセスメント・リスク低減に関連する話として紹介いたします。 リスクアセスメントの最後はルール作り とある職場での事例(仮想) 労災対策でルール追加 新人が来たら そんなこんなでグダグダに ルー…

【小ネタ】協働運転要件の「動力と力の制限」~動力と力は違うのか~

本記事は、2023年11月(ISO10218-1:2011が有効の時期)に投稿し、 ISO10218-1:2025発効後の2025年3月に一部修正・追記をしましたが、 用語の使い方が現行の規格と合っていない箇所があります。ご了承ください。本記事はちょっとマニアックな小ネタです。 人…

ISO12100に沿ったリスクアセスメント・リスク低減の流れ

機械安全についての記事をいくつか書いていますが、リスクアセスメント等についてまとめていなかったので、説明していきたいと思います。 すでにいろいろな会社ホームページ・ブログなどで解説がありますので、いまさらという気もしますが、個人的な意見や注…

「リスク」と「安全」について

協働ロボットを扱う場合も含めた機械安全について話をする際、安全やリスクという言葉がたびたび出てくるので、一度まとめておきます。 (この記事は短いです:860文字程度) 「リスク」とは 「安全」とは 「リスク」とは ISO12100での定義を引用します。 リ…

製品の安全対策は機械設計者から始まる

会社の文化によって様々な意見があると思うのですが、1つの考え方として読んでいただければと思います。私はメカ屋ですが、下記のような制御に関する情報も発信しています。 fa-robot-watch.com その理由は、この記事のタイトル通り「製品の安全対策は機械設…

【メカ屋さん向け入門編】安全関連部・安全適合・カテゴリ3PLdとは何か

本記事は、制御(電気・ソフト)のことはあまり分からないという人*1が、大枠のイメージを掴むことを目的としています。設備に関して話をしていると、以下のようなワードが出てくると思います。 安全関連部 安全適合 カテゴリ3PLd ・・・ そのような用語が…

【旧情報】協働ロボットの「安全適合監視停止」について

本記事は、ISO10218シリーズ:2011にもとづいて投稿したため、現行のISO10218シリーズ:2025と合致していませんが、一部内容を修正した上で記録として残しています。ISO10218シリーズ:2025においては、下記で紹介しているような運用形態は、通常の産業用ロボッ…

ロボットの「停止」についてまとめ

本記事は、元々「協働ロボットの『安全適合監視停止』について①~前置き:ロボットの『停止』について~」というタイトルで公開していましたが、 ISO10218シリーズ:2025の発効時に「安全適合監視停止」が協働アプリケーションの要件から外れたため、2025年3…

協働アプリケーションにおける衝突試験(接触力測定)について②(測定装置・方法など)

本記事は、2023年6月にISO10218-1および-2:2011、ISO/TS15066:2016に基づいて投稿しました。 ISO10218シリーズ:2025が発効されたのを受け、2025年3月にタイトルや一部内容を修正しました。前回の記事はほぼ規格の説明になってしまいましたが、後半の今回は実…

協働アプリケーションにおける衝突試験(接触力測定)について①(接触の分類・人体のモデル化など)

本記事は、2023年6月にISO10218-1および-2:2011、ISO/TS15066:2016に基づいて投稿しました。 ISO10218シリーズ:2025が発効されたのを受け、2025年3月に一部内容を修正しました。 ただし、規格番号や用語などの修正が主であり、内容に変更はありません。協働…

機械安全の情報がまとまっているサイト

機械安全について自分で学習する際に、参考になるサイトをまとめてみました。 厚生労働省 www.mhlw.go.jp やはりまずは、総元締め(?)の厚労省をお勧めします。関係リーフレット、関係テキストはもちろん無料でダウンロード可能です。 ロボット関連分野で…

安全対策をすると作業者が危険な行動をとり始めるという話

4月から自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務となりましたが、 関連記事で、興味深いものがありましたのでご紹介します。 merkmal-biz.jpイギリスの法律上、自転車でのヘルメットは任意なのだそうですが、 その一因として、ヘルメット着用が安全につなが…

協働ロボット「だから」安全柵がいらないという誤解

本記事は、ISO10218-1,-2:2011が有効だった時に投稿しましたが、 2025年のISO10218-1,-2改訂を受けて、2025年3月に内容を修正しました。「協働ロボットだから柵(フェンス)をつけなくてもいいんでしょ?」というのはよく聞くフレーズです。*1 が、ここには…

ヒトとロボットの協働作業のレベル分けについて5段階で説明

本記事はISO10218シリーズに基づいた投稿ではなく、ある論文の内容の紹介です。協働ロボットは柵が要らないロボット、となんとなく思っている方も多いと思います。 では人とロボットの「協働」とはいったいどんな状態を意味するのでしょうか? その疑問に答…

見るからに危ないものとそうでないもの

ぱっと見で危ないと分からない設備はより危険だよね、という話。 見るからに危ないもの 金属を削ったり曲げたりしているもの(プレス機やフライス) こういうものは、一見しただけですごい出力の機械だ=近づくと危ない、ということが分かるため、気をつけて…