以前の記事でパレタイズロボットの仕組みについて説明しました。
3社のパレタイズロボット
それでは、次の3社のパレタイズロボットを見てみてください。
川崎重工 CP180L
CP180L | 川崎重工の産業用ロボットより引用
不二越 LP130F
不二越 / 高速パレタイジングロボット LP130Fより引用
KUKA KR 700 PA
KR 700 PA | palletizing robot | KUKA in Malaysiaより引用
この中で1機種だけ、力学的に異なる構造のロボットが混ざっているのですが、分かりますか?
(この3枚の画像だけで分かります)
どのロボットも、下アームに平行なリンクが1本だけついています。
第3軸のモータは下アームの上側についており、リンクを介して上アームを動作させる構造ではない、というのも共通です。
では・・・?
答え合わせ
川崎重工のパレタイズロボットの構造
川崎重工のCP180Lは、平行リンク構造のロボットに、手首を水平に保つためのリンクを追加した形態です。
平行リンク機構の説明は過去記事をご覧ください。
fasumi.hatenablog.com
不二越・KUKAのパレタイズロボットの構造
対して、不二越のLP130F、KUKAのKR700PAは、リンクレスのロボットに、手首を水平に保つためのリンクを追加した形態です。
では、この構造の差がどう影響するでしょうか?
簡単のために、アーム長を同じとして、負荷(ワーク)重量も同じとして、同じ姿勢で比較してみたいと思います。
(いつも通り、アーム自身の重量は省略し、静止状態でかかるトルクを計算。重力加速度g=10で近似)
川崎重工のパレタイズロボットの構造の場合
第2軸にかかる負荷は、100kg×0.7m×10 = 700Nm*1
第3軸にかかる負荷は、100kg×1m×10 = 1000Nmです。
不二越・KUKAのパレタイズロボットの構造の場合
第2軸にかかる負荷は、100kg×1.7m×10 = 1700Nm
第3軸にかかる負荷は、100kg×1m×10 = 1000Nmです。
第3軸にかかる負荷は同じですが、第2軸にかかる負荷が異なることが分かります。
川崎重工の構造を採用すると、第2軸の負荷を軽減することができるため、
同じサイズのモータでも速い速度が出せる(減速比を調整することで)、または、速度そのままに小さいサイズのモータですむ、というメリットがあります。
まとめ
ぱっと見似ている3種類のロボットですが、力学的な違いがあり、川崎重工のロボットは工夫されていることが分かりますね!*2