今回はロボットの話ではなく機械設計の話、検図の手順です。
ヌケモレの無い図面を目指すために、私が気を付けていることを紹介します。
1.表面処理や材料欄、重量
まずは図面の絵以外のところ、材料指示、重量、表面処理、作成者、日付などがきちんと書かれているかを確認します。
アイソメは、全体形状が分かりづらいと感じた場合は、入れるようにしています。
(3Dデータを渡すことが多いですが、図面にも置いておいた方が何かと便利ではないかと思います)
2.外形の寸法が入っているか
まずは全体形状について確認します。
この時は、面取りなどの細かいところは見ません。
加工基準(測定基準)が統一されているか
図中の「///」は、寸法の基準をここからとっているというマークです。(私オリジナルのマークです)
あっちこっちから寸法が入っていないか?確認するとともに、大きく安定しておける面が基準面になっているか確認します。
もれなく寸法が入っているか、重複寸法になっていないか
面に印をつけ、その寸法にチェックを入れ・・・と言うことを繰り返し、最終的にすべての面に印がついているか?というように確認します。
各ビューの図面を見つつ、参考寸法を入れた方がいいか?なども意識しながら確認します
ポケット加工部の深さも忘れがちなので、注意して確認します。
3.面取りやRなどの指示が抜けていないか
角やスミの面取り、R指示が抜けていないか確認します。
全体寸法と同様に、形状に印をつけ、対応する寸法にチェックを入れる・・・ということを繰り返します。
私は「2-R10」などの指示方法も使うのですが、2個のRが探しやすいかどうか、分けて書くべきかどうかも確認します。
ピン角になっている個所は、問題なく加工できるだろうか?も確認します。
4.穴加工・ボルト穴・キリ穴関連の確認
穴・タップ加工のタテ・ヨコ寸法の抜けがないか、穴の加工指示、個数の指示が間違っていないか確認します。
タテの寸法はこれ、ヨコの寸法はこれ、と穴の中心線をなぞりながらチェックしています。
書き方はお客さんや加工メーカに合わせるのですが、個人的には必要なネジフカサのみ記載し、下穴はお任せにしてしまうことが多いです。
円周上に配置された穴は、「P.C.D.+等配置指示」で済ませる場合と、1個1個寸法を入れる場合があります。*1
ネジカカリと底付きの確認
同時に、ボルトが底付きしないか、ネジカカリが十分かも確認します。
相手部品の図面も見比べながら、
- 相手部品厚み+座金厚み+ネジフカサ ー ボルト長さ =底付き余裕
- ボルト長さ ー 相手部品厚み ー 座金厚み = ネジカカリ
を計算します。
いろいろ基準はあると思いますが、私の場合
- 底付き余裕:2~3ピッチ確保(M5以下)もしくは、2~3mm(M6以上)
- ネジカカリ:1D~1.5D(メネジが鋼), 1.5D~2D(メネジアルミ)
を確保するようにしています。
例えば、例図のP.C.D.35のM4ネジ部で、
- 相手部品の厚み5
- ボルト長さ12
- 座金使用(t=0.8)
- メネジ鉄鋼
だとすると、
- 底付き余裕=1.8でM4のピッチ0.7に対して2ピッチ以上あるのでOK
- ネジカカリ=6.2で1.5D以上あるのでOK
という感じです。
5.仕上げ記号(表面粗さ)、公差の確認
仕上げ記号の確認
- 公差が入っている個所
- 部品が取り付けられる部分の表面粗さ
- ボルト座面となる部分
など、仕上げ記号を特記すべき箇所にきちんと記号が入っているか、記号が入っていない箇所は全体の仕上げの粗さで問題ないか確認します。
特に、ダイカストや鋳物の部品の場合、鋳造そのままの箇所と加工する部分が間違っていると、型の直しになってしまいますので、注意が必要です。
また、図面右上の仕上げ記号と対応しているか確認します。
公差の確認
幾何公差、寸法公差なども、最後に改めて確認します。
まとめ
小さい部品の場合は各ステップでマーカの色を使い分けながら確認、大きい・複雑な部品の場合は、複数枚印刷して各ステップを確認するようにしています。*2
あくまで私の場合はという一例ですが、参考にしてみてください。
モデリングの段階で気を付けていることは別途まとめようと思います。