以前の記事で書いたように、Universal Robots社のUR+の登場を受け、各社がロボットを中心とした周辺機器・ソフトのエコシステムを構築しようとしています。
fa-robot-watch.com
以下では、UR+も含め、各社のエコシステム構築状況について調べてみようと思います。
ユーザ登録や個別問い合わせなどで詳しい情報が出てくるかもしれませんが、そこまではしておりません。
積極的なエコシステム構築の動きがあるメーカー
UR社のUR+
- リリース日:2016年6月頃*1
- 対応周辺機器数:241種類
- 対応ロボット:URシリーズ全機種
- 手順:USBメモリ経由でソフトを制御装置にインストール
- UIとの連携:○
確認できた限りでリリースは2016年。すでに5年以上経過しています。
周辺機器も241種類と、圧倒的です。
セットアップまでの手順はこちら:ユニバーサルロボットでロボットハンド設定はどのように行いますか?|Q&A|ASPINA電動ロボットハンド(グリッパ) | シナノケンシ(株)
サードパーティのFAQページですが、分かりやすくまとまっていたので紹介。
ソフトをインストールすると、機器に応じて専用の操作画面を使えるようになることが分かります。
FANUCのプラグイン対応周辺機器
プラグイン対応周辺機器のご紹介 - 機能紹介 - ROBOT - 商品紹介 - ファナック株式会社
- リリース日:2019年12月頃*2
- 対応周辺機器数:35社(会社ごとに複数の機器がある場合があり)
- 対応ロボット:協働ロボットCRXシリーズのみ
- 接続手順:USBメモリ経由でソフトを制御装置にインストール*3
- UIとの連携:○
対象は、協働ロボットの中でもCRXシリーズのみですが(いわゆる緑の協働ロボットは対象外)
UR+と同様、プラグインソフトをインストールして簡単にセットアップすることができます。
上記サイトより画像引用
安川電機のPlug & Play
人協働ロボットの周辺機器(Plug & Play) | 安川電機の人協働ロボット
- リリース日:不明
- 対応周辺機器数:44種類
- 対応ロボット:協働ロボットのみ
- 接続手順:USBメモリ経由でソフトを制御装置にインストール*4
- UIへの展開:○
名称はずばりPlug & Playですね。
安川電機も多種のロボットをラインナップしていますが、Plug & Playは協働ロボットのみを対象としています。
開始時期を調べきれなかったので、判明したら追記したいと思います。
川崎重工のK-AddOn
- リリース日:2021年06月08日*5
- 対応周辺機器数:45種類
- 対応ロボット・制御装置:全カテゴリ
- 接続手順:不明
- UIへの展開:不明
FANUC, 安川電機が協働ロボット限定なのに対して、全カテゴリのロボットで展開しているのが特徴的です(もちろん、機器によって対応ロボットは異なりますが)
接続手順は不明ですが、いくつかの製品で"外部電源(DC24V)、ロボットコントローラーへの信号接続が必要になります"という記載があったため、UR+のようなワンタッチ接続に関してはまだ整備が進んでいないような印象を受けます。
Omron(TechMan)のTM Plug&Play
TM Plug&Play Archive | Techman Robot
- リリース日:
- 対応周辺機器数:75製品(記事執筆時点でのホームページ掲載数)
- 対応ロボット・制御装置:TMシリーズ全機種
- 接続手順:USBメモリ経由でソフトを制御装置にインストール
- UIへの展開:○
URを強く意識しているTechMan*6だけに、使い心地はUR+に似ているようです。
なお、東アジアの新興協働ロボットメーカーは大量にありますが、数が多すぎて調べきれないため、代表でTechManを紹介いたします。
三菱電機のMELFAロボットパートナー
MELFAロボットパートナー 産業用ロボット MELFA | 三菱電機 FA
三菱電機はPLCでも存在感のある会社ですので、センサーメーカー等との連携は強そうです。
協働ロボットは後発ですが、周辺機器の充実スピードが結構速い印象です。
対応周辺機器の紹介のみのメーカー
下記の3メーカーは、対応周辺機器の紹介ページはありますが、エコシステムと呼べるところまでは力を入れていないように感じます。
断定はできませんが、アクセサリ・周辺機器といった一般的な名称を使っており、「プラグイン」「Plug & Play」「Addon」というような使いやすさをアピールする名称ではないことからも、あまり力を入れていない印象です。
デンソーウエーブ
情報が見つからないメーカー
下記の不二越、KUKAはサードパーティ製の周辺機器のページが見当たりませんでした。
周辺機器のページはありますが、メーカ提供のものだけのようです。
個別で問い合わせれば情報が出てくるのかもしれません。*9
まとめ
やはりというか、予想通りというか、UR社が一歩抜きんでていて、その後ろをFANUCをはじめとする老舗ロボットメーカーや、TechManといった新興協働ロボットメーカーが追いかけている、という状況です。
エコシステムというのは、ロボットメーカーが独自で頑張ればいいというものでではなく、たくさんの周辺機器メーカーが魅力を感じて追随してくれることが大切です。
先行するURが有利であるのは間違いないですが、FANUC,安川電機のような老舗メーカーのブランドも魅力を持っていますので、今から多くの周辺機器メーカーを巻き込んで、巻き返していくポテンシャルは十分にあると思います。
*1:確認できたもっとも古いものがこちらUniversal Robots launches app store and developer program – Robotics & Automation News
*2:サードパーティ向けパンフレットの発行日よりhttps://www.fanuc.co.jp/ja/product/robot/model/pdf/crxinterface.pdf
*3:ホームページ内のイラストより
*4:シュンクハンドの動画より
*5:ロボットと周辺機器のスムーズな接続を実現するプラットフォーム「K-AddOn」を開始 | ニュース | 川崎重工業株式会社
*6:私の意見です
*7:MELFA Assistaリリースと同時期と思われます。https://sg.mitsubishielectric.com/fa/en/download_files/rbt/robot/l09104a.pdf
*8:記事執筆時点でのホームページ記載の機器パートナー数 機器パートナー MELFAロボットパートナー 産業用ロボット MELFA | 三菱電機 FA
*9:私の調べ方が甘いのかもしれません