産業用ロボットは、ツールを付け替えることで様々な用途に使用できる汎用性が特徴ですが、悪く言えば器用貧乏とも言えます。
ですが、特定用途(ニッチ?)のために存在するロボットもあります。
それが、「自動車塗装工程でのドア開閉用ロボット」というピンポイントなロボットです。
安川電機
https://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/product/466451:embed:cite:w300
~上記ページより引用~
下記のとおり、3種類ラインナップされています。
- 塗装ロボット - MOTOMAN-MPO10 - 仕様 - 産業用ロボット | 安川電機の製品・技術情報サイト
- 塗装ロボット - MOTOMAN-MPO10L - 仕様 - 産業用ロボット | 安川電機の製品・技術情報サイト
- 塗装ロボット - MOTOMAN-MPO40 - 仕様 - 産業用ロボット | 安川電機の製品・技術情報サイト
MPO10は水平多関節3軸、MPO10Lは水平多関節5軸です。
MPO40は水平関節3軸+手首軸2軸という少し変わった構成になっています。可搬重量も40kgでこの用途にはオーバースペックな気がします。長いリーチを活かして、他の用途でも使えそうです。
ABB
機種名としてはIRB 5350の1つですが、3軸バージョンと4軸バージョンがあり、
- 3軸バージョン・・stop-and-go(作業時はワークが停止)
- 4軸バージョン・・moving-line(コンベア追従作業)
という使い分けになっているようです。
上記の安川電機のMPO10とMPO10Lも同じような使い分けが意図されていそうですね。
ABB, 安川電機ともに外観・構造は似ています。
ドア開閉という水平方向移動のタスクなので、水平多関節ベースになっています。
天吊り・壁掛けで設置された塗装ロボットと干渉しないように、下からアプローチしてドアを開閉できるように、先端だけがニョキッと突き出た形になっています。
商売になるのか
どうしても気になってしまうのが、こんなニッチな製品が商売になるのか?ということです。
商売的にプラスな点としては、
- 自動車産業向けなので、それなりの数はさばけそう
- ドアの開閉用途なので、それほど負荷も大きくなく動作もシンプルそれほどのリソースを投入しなくても設計ができるかも?
- ニッチと言うことで強気の値付けでも大丈夫?
ということが思いつきますが、
- とはいえ、スポット溶接ロボットなど比べると台数が少ないことは明白
- 塗装工程で使う以上、防爆対応が必要なので、検証・試験はそれなりに時間とリソースがかかりそう
と、マイナス面もいろいろありそうです。
詳しい内情は分かりませんが、大口ユーザーの強い要望があり、単体での利益は薄いが断り切れずに開発した・・というのが一番あり得ることかもしれません。