FA・ロボット業界の片隅から

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ロボットの機構(7)~似て非なる2種類のパレタイズロボット~

以前の記事でパレタイズロボットの仕組みについて説明しました。

fasumi.hatenablog.com

3社のパレタイズロボット

それでは、次の3社のパレタイズロボットを見てみてください。

川崎重工 CP180L

CP180L | 川崎重工の産業用ロボットより引用

不二越 LP130F

不二越 / 高速パレタイジングロボット LP130Fより引用

KUKA KR 700 PA

KR 700 PA | palletizing robot | KUKA in Malaysiaより引用

この中で1機種だけ、力学的に異なる構造のロボットが混ざっているのですが、分かりますか?
(この3枚の画像だけで分かります)

どのロボットも、下アームに平行なリンクが1本だけついています。
第3軸のモータは下アームの上側についており、リンクを介して上アームを動作させる構造ではない、というのも共通です。
では・・・?

答え合わせ

川崎重工のパレタイズロボットの構造

川崎重工のCP180Lは、平行リンク構造のロボットに、手首を水平に保つためのリンクを追加した形態です。

平行リンク機構の説明は過去記事をご覧ください。
fasumi.hatenablog.com

不二越・KUKAのパレタイズロボットの構造

対して、不二越のLP130F、KUKAのKR700PAは、リンクレスのロボットに、手首を水平に保つためのリンクを追加した形態です。

では、この構造の差がどう影響するでしょうか?

簡単のために、アーム長を同じとして、負荷(ワーク)重量も同じとして、同じ姿勢で比較してみたいと思います。
(いつも通り、アーム自身の重量は省略し、静止状態でかかるトルクを計算。重力加速度g=10で近似)

川崎重工のパレタイズロボットの構造の場合


第2軸にかかる負荷は、100kg×0.7m×10 = 700Nm*1
第3軸にかかる負荷は、100kg×1m×10 = 1000Nmです。

不二越・KUKAのパレタイズロボットの構造の場合


第2軸にかかる負荷は、100kg×1.7m×10 = 1700Nm
第3軸にかかる負荷は、100kg×1m×10 = 1000Nmです。

第3軸にかかる負荷は同じですが、第2軸にかかる負荷が異なることが分かります。
川崎重工の構造を採用すると、第2軸の負荷を軽減することができるため、
同じサイズのモータでも速い速度が出せる(減速比を調整することで)、または、速度そのままに小さいサイズのモータですむ、というメリットがあります。

まとめ

ぱっと見似ている3種類のロボットですが、力学的な違いがあり、川崎重工のロボットは工夫されていることが分かりますね!*2

*1:cos(45°)=√2/2 = 0.7としています

*2:えらい褒めていますが、川崎重工の回し者ではありません