再度登場FANUCの大型ロボット
さて、再度登場してもらいましょう。FANUCのm2000iA.

別記事で紹介した平行リンク機構が備わっていることはわかりましたが、まだいろいろついています。
後ろについている大きなオモリ、これは、カウンターウエイトと呼ばれるものです。
カウンターウエイトの原理
原理はシンプルです。
単軸のロボットに登場してもらいましょう。
(※本ブログで使用している用語や図示法についてはこちら:本ブログでのロボット模式図について - FAの隅っこから)

この場合、軸にかかるトルクは、100kg×1m×10 = 1000Nm
(前回の記事同様、ロボット自体の重さは無視、重力加速度は10で近似しています)
このアンバランスを解消するために、
天秤棒のように、反対側にも同じくらいの重さのウエイトを載せて、バランスを取らせるというものです。下図ですと、搬送対象物とカウンターウエイトがちょうどバランスして、軸にかかるトルクはゼロです。加速減速の時の慣性のみ、モータが負担することになります。

ただ、カウンターウエイト側があまり長いと邪魔なので、カウンターウエイト側のウデは短くして、代わりに重くするといった調整が行われます。
そうすると下図のようになります。これも単純なてこの原理で、
(実際はワークの重量は一定ではない、かつ、ロボットの自重もあるので、0kgから最大の可搬重量までの全範囲で最も効率よくなるよう、カウンターウエイト重量を決めていると思います)

具体的にどう使うか
第3軸に使う
この構造をそのまま第3軸に使うと、こうなります。

ただ、単純に重りをつけたこの構造、第2軸への負荷が増大するので、あまり見ないです。あえて例を挙げるならKUKAのこのロボット。えらい大きいモータカバー?がついており、第3軸のカウンターウエイトとして機能しているのではないかと思います。
(第3軸の後方に3つ並んでついているモータを覆う黒い部品)
KUKA社 KR 600 FORTEC
ただ、モータを第3軸の後ろに置いているのはよく見ます。どうしてもつけないといけない部品をカウンターウエイト的に配置して、少しでも力学的に有利にしているということだと思います。
平行リンクと組み合わせて第3軸に使う
ではどうするのがよいか?
前回説明した、平行リンク機構と組み合わせ、このように配置するのがよく見る構造です。


リンク機構を使って第3軸を駆動しているので、第2軸の負荷も増大しません。非常に理にかなった構造です。
冒頭で紹介したFANUCのロボットをはじめ、各社の大型ロボットはこの構造をとっています。
第2軸に使う
第2軸に使う場合、模式図はこのようになります。


これも、あまり多く見る構造ではありません。
オークラ輸送機のロボットパレタイザA400という機種がこの構造かな?と思いますが、あまり情報がなく確信は持てていません。
ロボットパレタイザA400V | ロボットパレタイザA | 積付け設備 | 製品情報 | オークラ輸送機株式会社
第2軸の動力補助には、カウンターウエイトではなくバネ要素を用いての構造が多いです。
これについては、また別途記事にしたいと思います。